【リスト】福間洸太郎ピアノリサイタル【ソナタ ロ短調】

昨年に引き続き、新進気鋭の好青年ピアニストこと福間洸太郎さんのリサイタルに行ってまいりました。
今年は四ッ谷は上智大学の奥、紀尾井ホールで行われました。

演奏リストは以下の通りです。
【Beethoven】
ソナタ第6番 ヘ長調 op.10-2
Schubert
4つの即興曲 op.90
【F.Liszt】
ソナタ ロ短調
作曲家の名前(ベートーベン、シューベルト、リスト)はもちろん知っていても、曲の名前からするとさっぱりなんのこっちゃ。。という感じです。


まずはベートーヴェンソナタ6番。
構成はアレグロ-アレグレット-プレストという、全体的にテンポの速い組み合わせです。
これは昨年のリサイタルでわかったのですが、彼は比較的激しい演奏スタイルが合っている・・というか速い曲が好きなんでしょうね。
しかしその中でこのソナタ6番の第2楽章「Allegretto(やや速く:Allegroっぽく)」がとても良かったのです。シュトラウスのワルツを連想させるような旋律を、流れるように演奏しています。
第3楽章「Presto(急速に〜)」での激しい演奏もよかったのですが・・


シューベルトの4つの即興曲については割愛。
何故なら・・眠かったから(笑


さて、休憩時間を挟んでから今回のメイン(・・にてクライマックス)のソナタ ロ短調です。
この曲は1楽章のみで30分ほどの長い曲でした。
今回は昨年の「展覧会の絵」のような予備知識は要りません。とにかく、激しい曲中でピアニストが憧れるそうなポリフォニーの旋律が美しいのです。
洸太郎さんは演奏するというか、ピアノと格闘している、というか何かをねじ伏せるような。。。
思ったんですが、演奏者は演技者なんですね。作曲家である・・というより素晴らしいピアニストであったフランツ・リストは、この曲をやはり曲という単位ではくくれなかったんじゃないか、などとも思ってしまいます。30分もある曲・・というか「ソナタ ロ短調」と名づけられた演奏の中で、作曲者(であり演技者)であるリストは死んでいます。(実際にお亡くなりになったわけではないですがw)
様々な感情が渦巻いています。そして、怒りや悲しみは時に爆発的に増幅します。もちろん、喜びや楽しみもまた。それらの音世界の連続の中で、明らかに演技者の意思がなくなって、無意識に、無造作に鍵盤を叩く場面があるのです。その場面で演奏者は死ぬのです。
洸太郎さんもまた、リストが譜面に残したように(実際はその感情を記したかどうかはわかりませんが)それをトレースして、一旦いなくなりました。
それから、復活して最後に燃え尽きるまで、リストの思いを自分のものに変えて、ピアノと格闘し続けました。


感動しました。もう本当に素晴らしかった。今回もスタンディングオベイションしたくなりました。音楽ってやっぱり芸術ですね、気軽に買うもんじゃない。


で、今年もアンコール曲は要らなかったなーと思いました(毒


今日のBGM...Prelude a l'Apres-midi d'un faune (composed by C.Debussy)