フェンウェイ・パークの主役達

かつて野茂英雄がその道を開拓した、野球人としての生き様を示したMLBというフィールドは、もう当たり前の世界になった。


しかし...「あの松坂大輔がBoston RedSoxの本拠地"フェンウェイ・パーク"のマウンドで、宿敵NewYork Yankeesの強打者達と対戦する」と、なると、興奮する気持ちを抑えられなくなるのもまた事実。
そう、昨年のWBC以上の何かを期待してしまう。



アリゾナダイヤモンドバックスが、ヤンキースを劇的なサヨナラ勝ちで下してワールドチャンピオンシップを獲得した年から、そして日本一の好打者・イチローMLBに行ってからは、日本のプロ野球への興味は薄れすっかりMLBに夢中になった。


そのうちテレビ中継を見ているうちに、ちょっと異様な球場があることに気がついた。


そこの球場は、やたらうるさいのだ。
テレビのスピーカーから、ヤジやら怒声やら生の人の声が聞こえたんだ。
ビジターチームの攻撃時にブーイングが凄まじい。
それから、外野のポールの位置がおかしいし、レフトスタンドがやたら高かった。



ボストン・レッドソックスというチームは、嫌いではなかった。
毎年のようにヤンキースの後塵を排しながらも、熱狂的なファンがいることは、やはり何かがあるに違いない。
ペドロ・マルチネスという素晴らしい投手が居て、ノマー・ガルシアパーラという走攻守高いレベルを誇る選手が居て、魅力的なチームだと感じていた。
そして、2003年のリーグチャンピオンシップでまたしてもヤンキースに負けた事で、最も注目すべきチームとなっていった。


あの憎っきヤンキースをやっつけろ!
だが、レッドソックスの野球はあまりにも大雑把過ぎる。
2001年以降のヤンキースは毎年のように大型補強を続け、洗練された野球とはちょっ離れてはきたけど、それでもレッドソックスよりは動きのある野球をしている。
しかし、レッドソックスはビッグ・ベースボールでなくてはならない。
あの満員で埋まった古くさいフェンウェイ・スタジアムを見ると、そう思えてくる。
たとえ野球スタイルが古くさくても、レッドソックスは熱く戦い、熱く勝利を勝ち取る。



マニー・ラミレスが、ドリューが、マイク・ローウェルがそしてキャプテンのバリテックがホームランを叩き込む。


残念ながら、フェンウェイ・パークの主役は投手ではない。
あの高いフェンスを越えて、熱狂的なファンのもとにボールを叩き込む。
ここはスラッガー's ボールパークなのだ。



松坂大輔はペドロやシリングの領域に至らないと、ここでは主役になれないと思えた。